セキュリティ・倫理 / 大分類7・中分類27

情報倫理・AI倫理とは?
重要用語と具体例

情報倫理は、情報を扱うときに他者や社会への影響を考えること。AI倫理は、その考え方をAIの利用にも当てはめ、誤情報や偏りなどのリスクに向き合うことです。便利さだけでなく、誰にどのような影響があるかを考えます。

学習範囲は2つの小分類

情報倫理・情報モラル

情報の発信・共有、同意、メール、誤情報など、デジタル社会での行動を学びます。

AI倫理・AIガバナンス

AIの説明可能性、人間の関与、利用方針と、AI特有のリスクを学びます。

情報セキュリティ対策が情報やシステムを守る方法を扱うのに対して、情報倫理は利用者の行動や社会への影響も扱います。両者は重なりますが、同じ意味ではありません。

情報倫理で押さえる重要用語

デジタルシティズンシップとネチケット

デジタルシティズンシップは、デジタル社会の一員として責任を持って参加する考え方です。ネチケットは、相手への配慮や迷惑をかけないといったネット上のマナーを指します。写真・録音・配信では、相手の同意や公開範囲を確認します。

TO・CC・BCCとメール誤送信

TOは主な宛先、CCは情報を共有する宛先です。TOとCCのアドレスは受信者から見えます。BCCの宛先は他の受信者から見えないため、互いのアドレスを知らせずに同報する場面で使います。ただしBCCでも、添付ファイルの間違いや本文中の情報漏えいは防げません。

デジタルタトゥー

ネットに公開した情報がコピーや拡散によって残り、完全に消すことが難しくなることの比喩です。投稿を削除しても、誰かが保存した画像まで消せるとは限りません。

誤情報・偽情報・悪意ある情報

内容が正しいかだけでなく、意図や文脈にも注目します。ファクトチェックでは、元の資料、発信者、日付、前後の文脈を確認します。

エコーチェンバーとフィルターバブル

エコーチェンバーは、似た意見を持つ人同士の交流で自分の考えが強化される現象です。フィルターバブルは、個人向けに選別された情報に囲まれ、異なる情報に触れにくくなる状態です。前者は交流する相手、後者は情報の選別に着目すると区別できます。

このほか、シラバス案にはヘイトスピーチ、データのねつ造・改ざん・盗用、トロッコ問題、フィルタリング、ペアレンタルコントロールなども示されています。本ページは全用語の網羅ではなく、最初に理解したい内容を整理しています。

AI倫理・AIガバナンスの重要用語

AIガバナンス

組織がAIを適切に使うためのルール、責任分担、確認・見直しの仕組みです。利用できるデータ、承認が必要な操作、問題が起きたときの報告先などを決めます。

説明可能なAI(XAI)

AIの判断の理由や根拠を、人が理解しやすくするための考え方や技術です。説明が付いているだけで、判断の正確さや公平性まで保証されるわけではありません。

ヒューマンインザループ(HITL)

AIを使う処理の中に、人間の確認や判断を組み込むことです。例えばAIが作成した顧客向け回答を、担当者が確認してから送信する運用が該当します。

AIサービスのオプトアウトポリシー

データ利用などへの参加を拒否・停止するための方針です。対象や手続はサービスごとに異なります。学習への利用を停止できても、保存や他の処理まで全て停止されるとは限らないため、方針を確認します。

ハルシネーションとディープフェイク

ハルシネーションは、AIが事実に反する内容などをもっともらしく生成することです。ディープフェイクは、AIなどで人物の姿や声を合成・改変した画像・動画・音声です。出力の自然さだけで本物かどうかを判断しないことが大切です。

シラバス案では、セキュリティやプライバシーへの懸念、差別的表現、古い情報、出典不明の情報、再現性・一貫性の欠如、フロンティアAIによるリスクなども挙げられています。

仕事で考える3つの具体例

例1:生成AIで顧客への回答を作る

そのまま送信せず、金額・日付・商品仕様を元の資料と照合します。顧客の情報を入力してよいサービスかも確認します。HITLと情報の適切な取り扱いを組み合わせる場面です。

例2:AIが候補者を順位付けする

高い精度が出ていても、特定の集団を不当に不利に扱っていないかを確認します。判断理由を確認できることと、公平であることは別の論点です。

例3:SNSの画像を業務資料で共有する

本物らしく見えても、元の発信元や撮影・掲載日時を確認します。加工された画像や古い出来事の再利用かもしれません。確認できない情報は、確定した事実として広めません。

理解を確かめる

次の説明のどこに注意が必要か、考えてから解説を開いてください。

AIが根拠を説明したので、結果は必ず正しい。

説明可能性と正確性は別です。元の資料との照合や、結果の妥当性の確認が必要です。

BCCで送ったので、情報漏えいは起きない。

BCCが隠すのは宛先です。本文や添付ファイル、送信先の選び間違いにも注意が必要です。

人がAIの出力を確認してから送信するのはHITLの例である。

その通りです。人が処理に関わる仕組みです。ただ承認するだけでなく、確認項目や判断基準を定めることも重要です。

よくある質問

情報倫理は、法律だけ覚えれば十分ですか?

十分ではありません。この分野では、社会や組織への影響を考えて適切に行動できるかも学びます。個別の法規は、中分類28〜30の関連分野とあわせて確認します。

AIの出力を別のAIに確認させれば安心ですか?

確認の補助にはなりますが、複数のAIが同じ誤りを返す可能性もあります。重要な内容は、一次資料など信頼できる情報と照合します。

出典:IPA ITパスポート試験 シラバス案 Ver.0.1(2026年8月31日掲載、中分類27/本文17ページ)。当サイトが説明・例を加えて編集しています。

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